クリニックの理念

「ポレポレ」はスワヒリ語で「ゆっくりゆっくり」という意味です。時間に追われて生きているわたしたちが、仕事も家事も育児も趣味も、もっとゆっくりと楽しめるように、と願いをこめて命名いたしました。

武蔵境駅前にて心療内科、漢方内科、小児心療内科、小児漢方内科を取り扱い、赤ちゃんから大人の方々までこころとからだのトータルケアを目指しています。患者さまお一人おひとりのライフスタイルや体質、症状に合わせて心身医学的検査および全人的医療に取り組んでいます。また、患者さまには親切・丁寧で常に誠意ある対応をし、患者さまやご家族の皆様の信頼が得られるよう努めています。


院長メッセージ

社長

 

親子を一緒に診られるクリニックを


幼いときはとても病弱で、しょっちゅう熱を出していました。原因不明の高熱が続いて大学病院に入院したこともあります。つらかった入院時に女性の医師にやさしくしてもらったこと、自分と同じぐらいの年齢の重い病気の子が病院にたくさんいたことは、大人になった今でも鮮明に残る記憶です。

その時の体験から、小学生のころからの夢は「医師になること、病気の子どもを救うこと」でした。その夢をかなえるため、医学部に入り小児科医を目指しました。

小児科で学ぶうちに子どもの心のケアに関わりたいと考えるようになり、小児心療内科の先生に師事しました。そこで、母親に虐待された子を診る機会がありました。当時はどうしても子どもの目線で見てしまい、虐待する親を非難する気持ちを持ってしまったこともありました。しかし悩み考えるうち、一番つらいのはわが子を虐待せざるを得ない状況に陥ってしまった親なのだと気づきました。そして「親を救えなければ子どもを助けることはできない、小児科だけで学んでいるのではダメだ」と考えたのです。

その後、心療内科で大人の心の病気についても学びました。しかし、どうしても小児科医は子ども中心に、心療内科医や精神科医は大人中心に診療をしがちです。親子の関係は切って離せるものではないと考えた私は、親子を一緒に診られるクリニックを作りたいと思い、2009年にポレポレクリニックを開業しました。

漢方医学との出会い


私が漢方と出会ったのは、小児科を離れてからでした。当時、小児科では発熱や風邪で来た子どもには、抗生物質と解熱剤、咳止めや鼻水止めなどを処方するのが一般的でした。もう少し違った視点の処方や考え方はないだろうかと悩んでいた時、心療内科に来て漢方の先生の勉強会に参加する機会がありました。そこで「漢方薬は人の持つ免疫力に働きかけることができる薬」と学び、「これだ!」と思ったのです。漢方は「症状」を診るのではなく、「人」を診て処方する薬だと聞いて、腑に落ちました。

また、心療内科の基本理念は「心身一如」。漢方医学の理念そのものです。心と体をわけ隔てなくその人をまるごと診るという考えが自分にピタッとはまり、心療内科の領域でこそ漢方薬を活用できると確信したのです。それから漢方薬について勉強し、患者さんの治療にも積極的に使い始めました。

患者さまと一緒により良い治療法を見つけていきたい


漢方を学んでから、私自身も漢方薬を飲むようになりました。そのおかげで体調がよく風邪をひきにくくなった実感があります。また、私が健康のため大切にしていることが「冷やさない」こと。とくに女性は、足首の三陰交というツボを温めることがとても大切です。実は、私は以前、生理不順や肩こり、頭痛などの不調を感じることが多く、自身の妊娠・出産時にもさまざまなトラブルに見舞われました。けれど、漢方薬と三陰交を温めることで、自分でも驚くほど不調が解消されました。ですから、患者さんにも「冷やさないほうがいいですよ、とくに足首は夏でも出さずに靴下をはいてあたためて」とおすすめしていて、クリニックの待合室では靴下も売っているほどです。

自分の考えた治療法が絶対正しいという思いはありません。患者さんは一人ひとり考え方や性格、生活も環境も千差万別です。例えば、調子が悪くなったとき、「厄年のせいだ」と言う人もいれば、「ストレスのせい」と考える人、「寝不足だから」と思う人もいます。それはどれもその人にとっては真実で、それを私が「いや、それは違う」と判断するのは間違っているように思うのです。

治療法についても、「この漢方薬がいいから使いなさい」と押し付けるのではなく、「この不調はどこから来ているんだろう?」「どうしてこうなるのだろう?」と患者さんとたくさん話して、考えて、その患者さんに最善と思われる治療法を一緒に見つけていきたい。私がこれまで積み重ねてきた経験や知識、漢方薬を始めとする治療手段を総動員して、私が病気を「治す」のではなく、患者さんが自分で「治せる」よう、患者さんが持っている自然治癒力を引き出せるお手伝いができればと考えています。


◆QLife漢方「ポレポレクリニック 辻内優子院長」より(公開日:2016.05.25)